この記事では玉手箱の言語のコツを例題と合わせて解説していきます。
玉手箱の言語の概要
玉手箱の言語には
- 論理的読解
- 趣旨判定
- 趣旨把握
の3つの出題形式があり、このうち1つが選択されて出題されます。
しかし、私は大手企業から中小企業、ベンチャー企業まで網羅的に選考を受け、玉手箱を数十回受験しましたが、「論理的読解」の問題しか出題されたことがありません。
「近年、「趣旨把握」の問題は出題されていない」という口コミもあったので、もしかすると「論理的読解」以外の出題は稀かもしれません。
各出題形式の内容
論理的読解
長文を読み、設問ごとに次の3つの選択肢から正しいものを選ぶ問題。
- 文脈の論理から明らかに正しい。または正しい内容を含んでいる。
- 文脈の論理から明らかに間違っている。または間違った内容を含んでいる。
- 問題文の内容だけからでは、論理的に導けない。
制限時間は15分で問題数は32問。1つの長文に4つの設問が設けられているため、15分で8つの長文を読み、設問を解答することになります。
趣旨判定
長文を読み、設問ごとに次の3つの選択肢から正しいものを選ぶ問題。
- 筆者が一番訴えたいこと(趣旨)が述べられている。
- 本文に書かれているが、一番訴えたいことではない。
- この本文とは関係ないことが書かれている。
制限時間は10分で、問題数は32問。1つの長文に4つの設問が設けられているため、10分で8つの長文を読み、設問を解答することになります。
趣旨把握
長めの長文を読み、「筆者の訴えに最も近いもの」を選択肢の中から1つ選ぶ問題。
制限時間は10分で、問題数は12問。
玉手箱は何割取れれば良いのか。玉手箱の合格ライン。
合格ボーダーは企業によって異なりますが、6割~7割取れれば通過の可能性があると思います。5割でも通過する企業があるようですが、勉強をする際は6割、欲を言えば7割を目標にすると良いと思います。点数は言語・非言語(場合によっては+英語)それぞれに設けられており、企業が設定している合格ラインが分からない以上、科目間の点数の偏りはなるべく避けた方が良いでしょう(言語・非言語両方で7割以上ずつ取るのが理想)。ただ、計数が苦手で5割程度の得点率であれば、それに応じて言語の得点率を8割まで上げる、といった対策は練るべきだと思います。
-
【25卒】tg-web/玉手箱/webテストのボーダー合格ラインまとめ
続きを見る
玉手箱の言語が難しい理由
玉手箱の言語が難しく感じる理由は、やはり制限時間の短さでしょう。
先ほど紹介しましたが、良く出題される「論理的読解」問題では、15分で8つの長文を読み、32問の設問に答える必要があります。1つ1つの長文は500字以上の文量があるため、15分以内に計4000字以上の文字を読み、32問の設問すべてを解答しきることは困難でしょう。
実際に出題される問題の解説(論理的読解問題)
次の文章を読み、設問文1つ1つについてA、B、Cのいずれにあたるか答えなさい。
世の中には、物事を後回しにするタイプとそうでないタイプに分かれる。私は前者の方だ。やろうと思ってもなかなか腰が上がらないことがある。しかし、明確な目標があればそれがたとえ困難な目標であったとしても達成できることもある。この違いはなんだろうかと最近よく考える。
私が困難な目標を達成できたのは、大学受験だ。半年間の間に偏差値が20も上がり、志望校に入学することができた。受験までのスケジュールを立て、自分なりに必要・不必要の選別をして効率的な勉強方法を確立した。そのおかげで順調に偏差値を上げ、無謀と思われた大学に入学ができたのだ。
大学受験ではそのようなことができたのだが、日々課題として与えられるレポートなどはギリギリになってやっと動き出す。この違いはなんだろうかと最近考えていて、ようやく気がついた。それは達成した際に何が得られるのかがわかるか、わからないかの違いによるものだと。
きっかけとなったのは、オリンピック選手の特集テレビを見たことだ。私がいう「違い」はアスリートがよくいうイメージトレーニングによるものが大きいのだろうと気づいたのだ。確かに大学受験のときには輝かしいキャンパスライフにあこがれて具体的なイメージを抱き、そこに向かっていくのだと決めて努力ができたのだが、ゼミの課題やレポートなどは達成した結果何が得られるのかがわからない。せいぜいABCなどの評価でそこまで価値があるとも思えないのだ。
しかし、この「違い」を転用すれば何にでもやる気を出して取り組むことができるのではないかと感じた私は、あらゆるものに対して目的をつけてみることにした。これが成功すれば、これまでの自分とは違った新しい自分に生まれ変われる気がする。
- 文脈の論理から明らかに正しい。または正しい内容を含んでいる。
- 文脈の論理から明らかに間違っている。または間違った内容を含んでいる。
- 問題文の内容だけからでは、論理的に導けない。
Q1
私が大学受験で無事合格できたのは効率的な勉強法を確立できたからだ。
Q2
意志が弱い人は目的が達成できないものだ。
Q3
達成したときのイメージが明確でも、達成できないものはある。
Q4
違いを転用し、成功できたとしても新しい自分にはなれる気がしない。
<解説>
Q1の答えは「A」です。第2段落で「効率的な勉強方法を確立した。そのおかげで順調に偏差値を上げ、無謀と思われた大学に入学ができた」とあるため、設問文は明らかに正しいと言えます。
Q2の答えは「C」です。第1段落に「明確な目標があればそれがたとえ困難な目標であったとしても達成できる」とあるため「B」が答えだと判断してしまいがちですが、あくまで設問の問いは、「意志の弱い人」が「目的を達成できるか否か」ということです。文章中にはこの問いに関する記載がどこにもないため、論理的に導けません。
Q3の答えは「C」です。文章中で言及されている大学受験の話は「達成したときのイメージが明確」だった事例ですが、他の事例が言及されていないため、「達成したときのイメージが明確」であれば「(目的を)達成できるか否か」について断定することができません。よって、論理的に導けません。
Q4の答えは「B」です。最終段落で「これが成功すれば、これまでの自分とは違った新しい自分に生まれ変われる気がする」とあるため、設問文は明らかに間違っていると言えます。
玉手箱の言語(論理的読解問題)を解くコツ
この問題で最も多い間違いは「C」を「B」と間違えてしまうケースです。「A」は非常に分かりやすいため迷う人は少ないですが、「B」と「C」はよく混同します。
そこで、この問題を解く上で常に意識しておくべきことは、「設問文について問題文中に記載があるか否か」ということです。制限時間がタイトに設定されているため、思わず「B」を選んでしまいがちですが、設問文を良く確認しましょう。その上で、記載があれば「B」、なければ「C」が答えになります。
思考の順番をまとめると、まず「A」が答えの可能性を考え、その後、文章中に設問文の記載があるかないかで「B」と「C」を判別する流れになります。
また、制限時間切れで最後まで問題を解き切れないケースも非常に多いです。
時間に関しては、「1分で読み、1分で4つの設問に解答する」ことを意識してみてください。最初はハードかもしれませんが、慣れてくれば時間は短縮されていくはずです。これができれば16分で32問ペースなので、全体で1分短縮すれば最後まで解き切ることができます。
実際に出題される問題の解説(趣旨判定)
次の文章を読み、設問文1つ1つについてA、B、Cのいずれにあたるか答えなさい。
問題解決とは何か。問題とはあるべき姿と現状との乖離から生じるものである。その現状をあるべき姿に近付けることが問題解決である。問題を解決するためには問題を認識し、解決するための手段を選び、講じることが必要である。
例えば、大学3年生のXさんが進路で悩んでいる。彼女は金融論を専攻していて、成績はほとんど「優」である。ゼミの指導教員には修士課程に進んでから就職したらどうかと進められる程である。Xさんは金融をこれ以上大学で学ぶつもりはなく、就職先には金融機関を考えていた。そろそろ周りではインターンシップに参加する学生が出始めている。
一方でXさんは、2年の時に経験したボランティア活動を通じ、他者のために奉仕することの喜びが心に残っており、弁護士になりたい気持ちを持っていた。金融機関に行けば彼女の専門が活かされやすいが、弁護士への道を断念することになる。どうしたらXさんは進路を決めることができるだろうか。
Xさんのあるべき姿は進路を決定している自分である。現状は、金融機関に就職するか、弁護士への道を選択するか、いずれかで悩んでいる自分である。そのギャップが彼女の問題となっていた。Xさんは弁護士へのあこがれを捨てられないが、彼女は法律の勉強をほとんどしたことがない。今から勉強すれば法科大学院の試験日には間に合う。
Xさんが問題を解決するには2つの手段がある。1つ目は法科大学院について調査することである。司法試験の合格率が高い法科大学院はどこか、専門外の自分はどのくらい勉強する必要があるのか。彼女の弁護士への思いは明らかなのだから、後は能力の問題である。自分には弁護士を目指す程の力量があるのかを、法科大学院を調査することで知るのである。
2つ目は、金融論を専攻して好成績を残した自分は、金融機関への就職に未練がないかどうかを知ることである。Xさんは金融への適性があるので、彼女の能力が活かされる。また、弁護士へのあこがれは「他者のために奉仕することの喜び」に端を発しているが、金融機関でも他者に奉仕することはできる。例えば、融資を通じて企業を支援することで、他者への奉仕に繋がる。
- 筆者が一番訴えたいこと(趣旨)が述べられている。
- 本文に書かれているが、一番訴えたいことではない。
- この本文とは関係ないことが書かれている。
Q1
司法試験の難易度は高く必ず合格できるとは限らない。
Q2
問題とは現状とあるべき姿のギャップである。
Q3
問題を解決するにあたっては、問題を認識し、適切な手段を選んで解決していく必要がある。
Q4
金融機関でも融資を通じて他者に奉仕することができるので、Xさんは進路として金融機関を選ぶべきである。
<解説>
Q1の答えは「C」です。第5段落で「司法試験の合格率が高い法科大学院はどこか」と「司法試験」に関する記述はありますが、問題文である「司法試験の難易度は高く必ず合格できるとは限らない」という記述は一切ないため、問題文は本文とは関係のないことが書かれていると言えます。
Q2の答えは「B」です。第1段落で「問題とはあるべき姿と現状との乖離から生じるもの」と、「問題」の定義に関する記述はありますが、第1段落の「問題解決とは何か」や第5段落の「問題を解決するには2つの手段がある」など複数回にわたって言及されている通り、筆者がこの文章で一番訴えたいことは「問題解決」についてだと分かります。よって、問題文は一番訴えたいことではないと言えます。
Q3の答えは「A」です。Q2の解説文で説明しましたが、筆者がこの文章で一番訴えたいことは「問題解決」についてです。よって、問題文は一番訴えたいことだと言えます。
Q4の答えは「C」です。第6段落で「金融機関でも他者に奉仕することはできる。例えば、融資を通じて企業を支援することで、他者への奉仕に繋がる」とあり問題文の前半部分は本文に書かれていると言えますが、「Xさんは金融機関を選ぶべきである」という記述は一切ないため、問題文は本文とは関係のないことが書かれていると言えます。
玉手箱の言語(趣旨判定)を解くコツ
この問題を解くコツは先ほど解説した「論理的読解問題」と少し似ていて、まず「設問文について問題文中に記載があるか否か」ということを意識することです。記載がなければ「C」が答えになります。
その上で、「筆者の訴えたいこと」を正確に把握する必要があります。私のオススメとしては、文章の構成上、文章の冒頭か最終段落に記述されている内容、また文章中で多く言及されている内容が「筆者の訴えたいこと」である可能性が高いです。先ほど解説した練習問題では、「問題解決」について冒頭を含む文章中の複数箇所で記述が見られます。
また、これも「論理的読解問題」と同様ですが、制限時間切れで最後まで問題を解き切れないケースが非常に多いです。1問当たりの時間は論理的読解問題よりもさらに短いため、一読で「筆者の訴えたいこと」を理解することを意識しましょう。二度読み厳禁です。
〇 実際に出題される問題の解説(趣旨把握)
次の文章を読んで、最も適切な選択肢を1つ選んでください。
就職や転職の面接は、自分が値踏みされるような思いがするので非常に苦手だ。毎回見えない誰かと比較されていることを感じて、控えめになってしまう。そのためうまく自分をアピールすることができず、もごもごと主張した結果不合格になってしまうことが多い。一通り面接を受けてみた後なんとか就職を決めたい私は、緊張しないためにどうすればよいのかを考えた。
まずは、なぜ緊張してしまうのかということを分解して考えてみた。その結果、緊張するのは4つの理由からだということがわかった。
1. 他の誰かと比較されていると感じる
2. 自分をより良く見せたいという思いがある
3. 作った志望動機を間違えないように伝えなければと思ってしまう
4. 面接官の反応が悪いと何かしでかしてしまったのではないかと思ってしまう
この4点が自分の緊張してしまう原因だと結論付け、さらにその要因をどのようにすれば解消できるのかを考えてみた。
1. 他の誰かと比較されているのは就職面接なので当たり前。しかし、それを面接中に気にしても合否の結果は変わらず、意味がない
2. 自分をよりよく見せたとしても、入社してから働くのは実際の自分。よりよく見せたところで後々嘘だと思われてしまう。
3. 志望動機は自分の心から自然に出てくるものであり、暗記して覚えるものではない。ポイントだけ抑え、言葉を間違っても意味が伝わればよい。
4. 人それぞれ反応の仕方は違い、あえて反応しない圧迫面接という面接の方法もある。相手の反応を伺うのではなく、自分が伝えるべき内容にフォーカスすることが大切。
このような考え方を持って取り組んでみると、不思議と肩の荷が下りたような気持ちになることができた。実際に面接に行く前にこの考え方を意識づけて挑んでみたところ、自分の心臓の鼓動が聞こえるような緊張感はなく、心地よいプレッシャーを感じながら面接を受けることができた。これまでの面接が何だったのかと思うほどのよい感触を得られ、先方からも主張が分かりやすく非常に好感を持てたという感想をいただけた。
この体験を振り返ると、いかに自分で自分の能力を知らぬ間に狭めているかがわかる。ほとんどが自分の思い込みで悪い評価を下されたらどうしようと考えてがんじがらめになっていた 。
自分の思い込みでがんじがらめになると、相手のことも見えなくなる。評価などを気にするのではなく、目の前にいる相手に伝わりやすい言葉で話すことや、何を伝えるべきかということに視点をおいて話すことが重要なのだ。
Q1
A. 面接では緊張せず、リラックスして対応することが大切だ
B. 面接では自分ではなく、相手のことを考えて会話することが大切だ
C. 志望動機は暗記しておくべきだ
D. 程よいプレッシャーは面接を成功に導いてくれる
<解説>
Q1の答えは「B」です。文章中の「自分の思い込みで-がんじがらめになっていた」や「目の前にいる相手に伝わりやすい言葉で話すこと-が重要なのだ」といった記述から、「自分のことばかり考えず、相手目線の会話が大事だよね」という筆者の趣旨が読み取れる。よって、「B」が答えです。
他の選択肢を見てみると、「A」はひっかけの選択肢だと考えられます。確かに文章中に問題文のような記述は見られますが、あくまでこの文章の趣旨は「自分のことばかり考えず、相手目線の会話が大事だよね」というものです。したがって、「最も」適切な選択肢を選ぶ場合は正解になり得ません。△の選択肢ですね。
「C」は、文章中に「志望動機は自分の心から自然に出てくるものであり、暗記して覚えるものではない」という記述があるため、明らかに間違っています。
「D」も明らかに間違っているでしょう。確かに「心地よいプレッシャーを感じながら面接を受けることができた」と、「プレッシャー」に関する記述はありますが、それ以外の箇所では言及されていません。
玉手箱の言語(趣旨把握)を解くコツ
この問題を解くコツは、「趣旨判定問題」と同様、「筆者の訴えたいこと」を正確に把握することです。先ほども説明しましたが、私のオススメは「文章の冒頭か最終段落に記述されている内容、また文章中で多く言及されている内容が「筆者の訴えたいこと」である可能性が高い」というものです。先ほど解説した練習問題では、最終段落に「筆者の訴えたいこと」に関する言及が見られます。これが難しい場合は、消去法で解いても良いでしょう。
制限時間に関しては、「論理的読解問題」「趣旨判定問題」よりも緩めな気がします。文章量は一番多い形式ですが、一読で内容が理解できれば時間不足の問題は起きないでしょう。